●まずは4月22日の社長ご就任、本当におめでとうございます。青野社長は創業メンバーの1人とお聞きしていますが、設立のキッカケはどのようなものだったのでしょうか?
設立以前は、松下電工の社内ベンチャー10名ぐらいで、システムインテグレーションの仕事をしていました。その間に、ソフトウェアを作りたいという思いが大きくなり、社長の高須賀と私、それに大学時代の先輩の畑に声をかけて3名で独立しました。当初は社内でやる予定でしたが、会社はソフトを作る発想がなかったので独立しました。
●ソフトの中でも「グループウェア」に絞られた理由は?
ウェブブラウザの将来性に魅力を感じていました。それまでソフトを使おうと思ったら、個人個人がPCにインストールしなければならなかったですが、ウェブブラウザなら世界中どこにいてもインターネットからアクセスでき、情報共有や書き込みが可能になります。社内のサーバーをみんなが見にいくようになれば、グループウェアは必ず必要になると思いました。
●サイボウズさんは三名でスタートされたそうですが、役割分担など決まっていたのですか?
開発を畑、営業を私、統括するのが高須賀といった感じでバランスがとれていましたね。一人一人が責任をもってやっていましたし、ちょうど3名だったこともあり、多数決をとると2対1になるので、意思決定のスピードは非常に早かったと思います。創業するなら3名という人数はお薦めですね(笑)。
●グループウェアを作った後の販売を全てWEBで行ったそうですが、当時インターネットがそれほど普及していない状況でどのように販売したのですか?

最初に販売対象をインターネットユーザーに絞りました。インターネットを使える人なら、どこにいてもソフトをダウンロードできます。また、当時インターネットを利用しているユーザーは先進的な人だったので、周囲に流されることなく自分で良いものを積極的に使っていく方々が多くいました。
ですから、「インターネットを通じて提供すれば使ってもらえる」、「安くて良いものだったら購入してくれる」というシンプルな発想でした。
あとは、販売対象の目に止まるように、バナー広告やメールの5行広告など、インターネットに限定して広告を出稿しました。当時の広告費は月間で約100万円でした。この販売対象の絞込みがうまくいって、発売開始から3ヶ月目には200万円の売上で黒字になっていましたね。
●宣伝はインターネットだけだったのですか?
雑誌や新聞などにも広告を出していました。98年頃からは、キャラクターの「ボウズマン」が登場しました。ボウズマンを作ったキッカケは、「ホームページ視聴率」というログ解析のソフトをいかに親しみやすく伝えるかということからでした。さらに、GMOの熊谷社長が、さるをイメージキャラクターに使っているのをみて、「こんな目立ち方があるのか。だったらこの上をいこう!」と自らがボウズマンの姿になることを思いつき、代理店さんに声をかけ専用のコスチュームを作ってしまいました。作った以上は元を取らないわけにはいかないので、セミナーの度に着て、プレゼンをしていました。あと、実はボウズマンのテーマソングもあったりします(笑)。
●口コミでも広がっていったようですが?
そうですね。口コミを肌で感じ始めたのは発売開始から半年〜1年ぐらいたった頃です。コアなユーザーがホームページを通じて、サイボウズについて色々と書き込みをしてくれたのです。当時はグループウェアそのものが斬新だったこともあり、”「グループウェア」=「サイボウズ」”となったことが、認知度向上に役立ったかもしれませんね。
●グループウェアの普及において、ブレークスルーしたきっかけは何かありますか?
「99年最優秀製品・サービス賞 日経産業新聞賞」に選ばれました。同時に受賞したのが「iモード」やトヨタの「ビッツ」でしたので、その影響力はかなり大きかったと思います。目立つことはとても大切だと考えていましたし、ユーザーの方が商品を知らなければ買っていただくことはないですから、お客さんに知ってもらうために全力を注いでいました。その中のひとつが「ボウズマン」でしょうね。サイボウズという言葉がネット上などで会話に登場するだけでうれしかったですね。
●グループウェアは「なくても困らない」と思う方も多くいらっしゃると思われますが、そういった商品を上手に販売するコツはありますか?
「なくても困らない」と思っている人に販売しないことですね(笑)。「必要不可欠」と思っている人に販売することが何よりも大切です。まず使ってくれる人に全力でサービスすること。その結果、感動してくれたら自然と次のお客さんを呼んでくれて、広がっていくものだと思います。最終的に、「なくても困らない人」にまで「おまえのところまだないの?」と伝わってくれればと思っています。ただ、途中でそっぽを向かれたら次はないので、改良に改良を重ねる日々ですね。