●御社の会社概要と沿革についてお聞かせください。
弊社はパソナの社内ベンチャー第一号として誕生し、3月の15日で、10周年を迎えました。社内ベンチャーであると同時にジョイントベンチャーで行うということで、当初はパソナが55%、三菱商事が30%、そしてCSK、パソナソフトバンク、ケンタッキーフライドチキンが5%ずつ株式を保有しました。パソナサイドで60%、三菱商事サイドで35%、CSKで5%といった形です。
その後も営業の販売戦略上、パートナーになってくれそうな会社を株主にしていく戦略で、日本生命や東京海上といった各業界のトップシェアを築いている企業から出資を頂き、増資などを繰り返して、現在の状況を築いております。ジャスダックには一昨年9月に上場しまして、今年の3月3日に、東京証券取引所第二部に上場したという沿革です。事業内容に関しましては、一言で言いますと、福利厚生のアウトソーシングサービスを行っております。
●御社の詳しい事業内容について、お聞かせください。

ベネフィット・ステーションという商品名で福利厚生サービスを展開しております。ちょうどサービスを始めて10年経ちましたが、最初の5年間と最近の5年間では、企業側のサービス導入目的が若干異なっております。
初期の頃は、大手企業が直営の保養所を持っており、その代案として中堅企業が導入するという例が数多くありました。もちろん保養所以外のサービスも行ってはおりましたが、導入した企業が利用したサービスの多くは、保養所でした。
そして最近5年間は、保養所閉鎖が進み、企業の福利厚生全体の制度改革が続いている状態ですので、その制度改革を行ったついでに、オペレーションはアウトソーシングしようというトレンドになっております。
当然、我々もお客様に合わせてサービスなどを替えており、初期の頃は宿泊施設をどの程度充実させるかということを行ってきましたが、最近では2つ目の商品であるカフェテリアプランのアウトソーシングサービスを新規に導入しています。福利厚生と賃金絡みのオペレーションは、全てアウトソーシングで行っていくというのが現在の弊社のビジョンです。少し専門的な話になりますが、“トータルコンペンセーション”という総額報酬の管理をワンストップ・ソリューションという形で、記録・管理・処理を一括で行う事業を展開しております。
●ベネフィット・ステーションについてお聞かせください。
これには1人の従業員から350円をもらうスタンダードコースと1,000円の会費をもらうゴールドコースがあります。まずスタンダードコースの基本的な考え方は共同購入、共同仕入れという発想です。例えば定価1万円のホテルであれば6,000円とか7,000円くらいで仕入れることができます。それは150万人の会員がいるというスケールメリットを前提とした価格交渉をホテルとして、1万円のものを6,000円、7,000円で仕入れて、同じ値段で会員に提供します。つまり会費のみが弊社の収益です。
それがゴールドコースになると、1万円のものを6,000円くらいで仕入れたら、会員に4,000円くらいで提供しています。これは弊社が数多くの会員から集めたお金で補助を出しており、掛け捨ての団体保険のようなイメージです。こういった部分ではゴールドコースは非常にユニークなプランであると言えます。
ただ、ゴールドコースは会員がサービスを利用すると、補助金が弊社にとってコストになっていました。その対応策として、ちょうど今から5年位前に、ビジネスモデルを大幅に変更いたしまして、サプライヤーから手数料を取るようになりました。現在は、手数料を取っている施設と取っていない施設、補助金がある施設とない施設が存在します。
●カフェテリアプランについて、お聞かせください。
カフェテリアプランというのは一種のオプションサービスです。弊社に毎月1,000円払っていただくと、福利厚生施設が使い放題になるというのが基本サービスです。ところが日本の大手企業の福利厚生費の平均というのはもっと高いので、余った予算をポイント化し、会員が好きな用途に使えるといった仕組みがカフェテリアプランです。弊社はアウトソーシングとして、ポイントの管理や決済業務を行っています。
●御社のビジネスにおけるポイントをお聞かせください。
弊社のビジネスは、「会員」とメニューを提供する「サプライヤー」という両方をバランスよく増やしていくのがポイントです。最近は、サプライヤーもある程度増えており、仕入れも順調にいっています。
また、弊社は一般的には、福利厚生のアウトソーシングと言われておりますが、もともとのコンセプトは、新しい流通業を目指し、サラリーマンのインターネット生協を作ろうとしたのです。その会員を集める際に、企業の福利厚生制度に目をつけ、企業側に対して福利厚生のアウトソーシングとして提案し、会社単位で入ってくれれば、短期間で会員を集めることができるだろうと考えました。ですから、本質的にはこれは個人向けの生協みたいな流通業になっているのです。それもどちらかというと、物を売るよりサービスのマッチングビジネスのようなものになっています。
●英会話教育の会社であるスピークラインと新会社ベネフィツトワン・パートナーズについてお聞かせください。

まず英会話学校ですが、弊社の社内ベンチャー第一号企業です。私どもの経営計画の中で、最もプライオリティの高い項目は、会員がサービスを利用すればするほど利益になるような体制作りです。以前は会員が施設を利用するだけコストになっており、それを利益へと転換することが大きなテーマでした。
それが順調に進み、今現在では、会員がサービスを利用すれば、サービスを提供する連結対象子会社にお金が落ちる仕組みを作るということが大きな経営方針になっています。この方法としては、ゼロから作るか、会社を買ってくるかです。今回のスピークラインという会社は、社内ベンチャーとしてゼロから作った格安英会話学校になります。
もう一つベネフィットワン・パートナーズという会社があります。企業は従業員に対して福利厚生と称して、サービスを安くするような福利厚生を提供していますが、同社は企業の従業員ではなく、企業のお客様に福利厚生のようなサービスを提供するが目的です。企業は、お客様を簡易組織化して囲い込み、客単価を上げる、あるいはお客様を維持していこうというCRMを重要テーマとしておりますので、それらのオペレーションのワンストップ・アウトソーシングサービスを、ベネフィットワン・パートナーズが行っております。
この度、三井住友銀行様のCRMは同社が担当します。最初にスタートするのが女性向けのクラブとシルバー向けのクラブです。その際に同社は会員組織の会員特典を提供するだけでなく、会員管理や管理用のホームページ作成、あるいはポイントサービスの管理などを行います。
つまり、ベネフィットワン・パートナーズは、一言でいうとCRMのアウトソーシング会社ですが、本業との関係を言うと、弊社と同様のことを対象と商品名を変えて行っているだけになります。本業のソリューションを再活用することができるビジネスモデルなのです。今期も売上好調で25億円くらいを予定しており、経常利益でも2億くらいの数字を考えています。最短で上場できればと思っています。
●パソナグループとしての位置付けや、関係性についてお聞かせください。
私どもの会社にはビジョンが二つありまして、一つは今まで申し上げたように生協を作っていくということ。もう一つはアウトソーシングということです。アウトソーシングについてお話しますと、パソナグループのビジョンがアウトソーシングのワンストップ・ソリューションを目指しておりますので、その中でベネフィット・ワンという会社は福利厚生とか賃金がらみを担当していると言うことができます。
●競合や差別化についてお聞かせください。
このビジネスには参入障壁がありません。全部ネットワークで展開しており、作ろうと思えば同じものを作れる企業が多数あります。その中での差別化として、弊社はトータルコンペンセーションを打ち出しました。また、シェアが多いところに良いサービスも集中しますし、会員も集まってきますので、そういった意味ではシェアそのものが差別化になっております。