● 2007年3月期の財務ハイライトについてお聞かせ下さい。
売上高67 億円(前期比41.5%増)、経常利益16億円(前期比41.4%増)、当期利益9億円(前期比35.7%増)と、いずれも順調に推移しました。成長した主な要因は2つあり、1つは都銀や大手証券での大型案件納入を受け、売上高が前期比37.4%増とSI事業が好調だったことが挙げられます。もう1つの成長要因は、新規事業であるUMS事業が、売上高6.2億円と順調に積み上がった点です。UMS事業の売上高営業利益率は、58.2%と圧倒的に高い利益率を達成しています。UMS事業の詳細については、第二次中期事業計画の概要と共にご説明させていただければと思います。
● 競合優位性についてお聞かせ下さい。
金融フロンティア領域に向けて、金融とITの両方を高い次元で提供できるのが当社の強みですね。全てはそこに集約されると思います。この点は前回のインタビュー当時から変わっていません。
一般的な会社では、金融工学の知識は持っていても、システム化のノウハウを持っていなかったり、システム開発の技術力は優れているものの金融系の知識が足りなかったりと、両方の知識を満たすのはそう簡単なことではありません。ですが当社は、金融とIT両方のノウハウを持ち、それを高い次元で融合し、クライアントに提供しています。どちらか一方を得意とする会社はあると思いますが、片側だけクライアントに提供できても、トータルで良いパフォーマンスは生み出すことはできません。両方を高いレベルで実現できるということが重要だと思っています。
● 第二次中期事業計画について概要をお聞かせ下さい。
第二次中期事業計画は、期間を2008年3月期から2012年3月期の5カ年とし、売上高150〜200億円、経常利益50〜60億を最終年度の業績目標としています。第二次中期事業計画において当社は、従来事業であるSI事業(システムの受託開発事業)の拡大と、新規事業であるUMS事業の立ち上げと拡大を実現し、「金融フロンティア領域におけるユニバーサル・プレーヤ」を目指します。
第二次中期事業計画では、既存事業であるSI事業に加えて、利益率の高いUMS事業を新たな事業の柱として確立し、その売上総利益をSI事業と同程度に引き上げることで、最終年度2012年3月期の売上高営業利益率を現在の24%から30%へと向上させることを目指します。
● 新規事業UMS事業の特徴についてお聞かせ下さい。
UMS事業とは、当社が企画・開発・保有するシステムの機能を、ネットワークを介してサービスとして顧客に提供するサービス提供型モデルを特徴とした事業です。5年後には、最終的に50〜60億円の売上高を誇るビジネスに育てたいと考えています。
このUMS事業の特徴とメリットとして、大きく3つ挙げられます。
1つ目は、サービス提供型モデルによる安定収益の実現です。
UMS事業は、当社が企画・開発・保有するシステムをSI事業のように納入するのではなく、そのシステムを利用できるサービスとして顧客に提供します。そのためUMS事業は顧客に採用された場合、利用期間や利用頻度などに応じた継続的な課金となるため、安定収益を見込めます。
2つ目の特徴は、システム共有型モデルによる高利益率の実現です。
UMS事業では、単一のシステムを共有する形で複数の顧客にサービスを提供します。そのため、SI事業と比較して少数のエンジニアで複数の顧客に展開でき、高い利益率を実現できます。さらに、サービス採用顧客やユーザが増えるに従って、システム運用の固定費の割合は相対的に下がり、利益率が向上します。
3つ目の特徴は、顧客収益連動型収益モデルによるレバレッジが効いたビジネスの実現です。
サービスの利用課金体系を、「利用ユーザ総数」や「トランザクション数(取引数)」、「サービス利用によって発生したサービス導入顧客の収益」など、導入顧客のサービス利用料や、利用にともなう収益に連動させることで、顧客のビジネスの拡大が当社の収益に連動するWin-Winの関係を構築できます。
一方、UMS事業は、当社が企画・開発・保有するシステムで顧客にサービスを提供するため、システムを設置するデータセンターの利用コストや、システムを稼働させるためのハードウェア(コンピュータ)の購入など、事業開始時に先行投資が必要になります。そのため当社は、UMS事業の立ち上げを成功させる意味合いも含め、第二次中期事業計画の5年間で50億円程度の先行投資を予定しています。なお、この先行投資は、新たな資金調達ではなく、各会計年度で費用化することを前提としています。
● UMS事業の成長イメージについてお聞かせ下さい。
当社はUMS事業「立上げ」と「確立」の時期を、それぞれ「投資フェーズ」と「収穫フェーズ」の二つの段階に分けて事業展開していきます。
当社は、2008年3月期から2010年3月期までの3年間を、「投資フェーズ」と位置づけ、UMS事業を積極的に立ち上げていくための先行投資を集中して行う予定です。このため、「投資フェーズ」におけるSI事業とUMS事業を合わせた全体の売上高営業利益率は、一時的に下がる見込みです。
しかし、2010年3月期には、この先行投資によるUMS事業の立ち上がりにより、SI事業とUMS事業を合わせた全体の売上高営業利益率は、2007年3月期時点とほぼ同等の24%程度まで回復する見通しで、2010年3月期の業績目標として、売上高100〜120億円、営業利益25〜30億円を設定しています。
次に、2011年3月期から2012年3月期までの2年間は、「収穫フェーズ」と位置づけ、「投資フェーズ」でのUMS事業への投資の成果が享受することで、さらなる利益率の向上を実現し、第二次中期事業計画の業績目標を達成したいと考えています。
そして、そのためには、「SPRINT」と同等規模(売上高10億円程度、営業利益6億円程度)のUMS事業が、4〜5事業確立する必要があると考えています。
そして第二次中期事業計画全体でいえば、この「収益の安定性と高利益率」を特徴とするUMS事業の確立と、現状以上の利益率向上は困難だが、競争優位性も高く、成長余地もまだまだあるSI事業をさらに成長させていく、というこの2事業の展開を両立していくことにより、売上高営業利益率30%を実現し、売上高150〜200億円、経常利益50〜60億円という第二次中期事業計画の業績目標を達成していきたいと考えています。
● UMS事業の進捗状況についてお聞かせ下さい。
UMS事業の第一弾事業が、同社が金融機関向けに提供する個人投資家向けリアルタイム・トレーディング・ツール「SPRINT」のサービスです。主にネット証券で採用され、実際に多くの個人投資家の方々にご利用いただいています。
「SPRINT」の採用事例
・松井証券「ネットストック・ハイスピード」
・三菱商事フューチャーズ証券「サイバーストック匠」
・ジョインベスト証券「ジョインベスト・エクスプレス」
・マネーパートナーズ「HYPER SPEED」
・オリックス証券「オリックス・マーケット・ステーション」
「SPRINT」事業を開始してから2年が経過し、2007年3月期では10億円を超える売上規模にまで成長しました。その粗利率は60%程度の高い粗利率を実現するまでになっており、既存のSI事業と比較すると、圧倒的に高い利益率を誇っています。さらに、SI事業のような毎年ゼロから売上を積み立てていかなければならないフロー型の収益形態とは異なり、ストック型の収益形態であるUMS事業は、毎年継続的・安定的に収益が計上されるという利点があります。
また、当下期からUMS事業の第二弾サービス事業として「時価配信・ニュース配信」を展開していく予定です。この他のサービス展開については、適時投資家の皆様にお知らせしていきたいと考えています。