●そもそも起業に至る経緯についてお聞かせ下さい。
1995年にリクルートを退職し、不動産情報サイトを作ったことが起業のきっかけとなります。大学卒業後、「5年で独立する」という目標を立てリクルートコスモス(現:コスモスイニシア)へ就職いたしました。早くからマネージャー職へ登用される可能性があり、将来の独立も視野に入れてのことです。
起業のコンセプトが決まったのは入社後すぐの事で、新築マンションの営業にてある若い夫婦を担当した際です。お二人が気に入った物件の住宅ローン審査が通らず断念せざるをえなかったため、「何とかして良い物件を見つけてあげたい」との思いから、自社の物件のみならず競合会社物件も含め新築・中古物件を問わず、片っ端から探して紹介しました。
最終的に他社の物件を購入することが決まり、上司からはひどく怒られたのですが、お二人から「井上さんのおかげで素敵な物件にめぐり合えました」とお礼の言葉を頂き、その時の「これから先ずっと、こういう笑顔を作り続けられる仕事がしたい」、そして「多くの不動産情報から物件が選べる仕組みを作りたい」という想いが起業のコンセプトになっております。
その後、不動産融資の総量規制が不動産業界を直撃し、私も入社3ヶ月でリクルート本社への出向を命じられました。畑違いの人材広告の分野でしたが、起業のコンセプトがどうしたらビジネスとして成立するかを考え続け、「不動産業者が物件データを入力し、顧客が端末で情報を見る」というビジネスモデルに辿り着きました。おりしも1990年代半ばでのインターネット普及に伴い、インターネットであれば情報インフラにおいて大幅にコストを削減できると、インターネットの黎明期であり、今のような高速通信がまだ整備されていない1997年に起業いたしました。
●リクルートで身につけた考え方やマネジメントはどういったものでしょうか。
まずは「情報サービス業」というビジネスモデルです。私は求人情報の部署に在籍しておりましたが、より多く、詳しい求人情報を求職者が簡単に閲覧できるように、情報収集、提供する役割は非常に重要であると感じました。ただし情報誌などの紙媒体では、都会・地方といった地域による情報の偏りや、印刷や物流、そして人件費といったコスト増が問題となります。そこで我々はITを使う事でこの問題を解消し、コストを固定化できるモデルにいたしました。情報を収集し、提供するといった情報サービス業のコアな部分を学び、そこでの限界をクリアにする事で現在のビジネスモデルにつながったのです。
その他にリクルートに影響を受けた点は採用です。リクルート創業の江副氏が「入れてから教育して伸ばすよりも、ほっといても伸びるやつを取れ」とおっしゃっていますが、当社でも採用と教育との割合が8:2の比率となるほど採用には力を入れております。そもそも会社は価値創造するものであるという考えから、ネクストという会社を「日本一働きたい会社」と社内外から思ってもらえるレベルまで到達させたいと考えております。
また、学生と企業が相思相愛となり、ミスマッチを防ぐために、学生に聞かれたことを飾り立てずに当社の等身大の姿を伝えることを大事にしております。等身大の姿を見せるという姿勢はIRにおいても同じで、月次で主要指標を出すなどこまめに業績を開示し、粉飾や脚色を絶対にしないという方針を貫いております。
※1 表中の従業員数(単体・連結)は2008年3月末時点の数値です。
※2 表中の発行済み株式総数は2008年3月末時点の数値です。2008年4月1日付で1: 2の株式分割を実施しています。